オンライン上でエコシステムを構築するためには、明確な目的、目的の共感性、共同作業しやすい領域、などのいくつかの条件があるのだろう。そのなかで、マルウェア対策は、エコシステムを構築しやすい。数千人もののプレイヤーが日々、戦っているのだという。
PolySwarmは、数千におよぶセキュリティの専門家が脅威検知のマイクロエンジンを作成、各々が脅威を分析することで、既存のソフトでは検知できなかった脅威を見つける仕組みを提供する“エコシステム”となっている。
なかでも面白いのが、そのエコシステムのプレイヤーに階層があるということ。エンドユーザー、エキスパート、アンバサダー、アービタと呼ばれている。
こうしたエコシステムは、フラットな組織をイメージしやすいが、それなりの階層構造が必要になるのは、なんとなくイメージできる。完全なフラットは、エコシステムの引力を低下させ、結果、収拾がつかなくなってしまう。
しかし、完全なツリー構造というより、アレグザンダーのいうようなセミラティス構造だろう。一部が重なり合いながら構成される構造である。右のツリー構造は、重なり合うことなく全体が部分へと分解されているが、左のセミラティス構造においては、一部重なりが生まれ、そこでコミュニケーションが生まれる。
アレグザンダーは都市の構造として構想したが、これはまたネットワーク上のエコシステムにも適用できるだろう。