この記事でもふれたRICOH THETAの事業展開の中で面白いのが、THETAによって撮影された写真のどこが注視されたのかをデータ解析している話。
利用者がこれまでアップロードした写真の総数は約400万に上る。さらに投稿された写真ごとに、どこが注視されているのかといったデータを解析した。この解析データをAIに学習データとして読み込ませることで、画像内から閲覧者の目を引く訴求点を自動抽出するアルゴリズムを開発した。
全天候型カメラなので、ユーザーはぐるぐるとその視点を動かしていく。そうすると、どの場面で手を止めて注視したのかがわかる。400万点もの写真の閲覧データから、そうした訴求点を自動抽出するアルゴリズムを開発したのだという。
そして実際にその訴求点を強調した結果、
静止画の広告と比べて、CTR(クリック率)は1.5~2倍となる
という。
こうなると、THETAは販売して収益を上げるモノではなく、こうしたビジネスモデルを支えるリソースになっている。ページビューなどの単なるコンテンツ接触ではなく、コンテンツのどこに注視したのかというデータを得ると、さまざまなビジネスモデルの展開が可能になる。IoTによるセンサーがさまざまなところに展開される時代、ひとつのヒントにもなるだろう。
また、ユーザーもビジネスモデルの重要なプレイヤーとなっている。今は広告制作・配信サービスにとどまっているが、今後、こうした仕組みによって撮影したユーザー本人にメリットが還元され、ユーザーがさらに効果的な写真を撮影していこうというモチベーションにつながるプラットフォームができると、さらにスケールしていくと思う。また、Instagramがやっているような、物販プラットフォームなども面白いだろう。