新しいビジネスモデルが生まれるポイントとして、新しい価値の発見がある。今までそんなものに価値があるとは思っても見なかったものに、価値を見出す。そのためには、視点を変える必要がある。
今、農業分野では、新しい価値の発見が契機となって新しいビジネスモデルが生まれている。そのとき、貴重な視点となっているのがインバウンドである。
インバウンドで訪れた外国人は、日本の農業に、日本人とはまったく異なる価値を見出している。
たとえば記事の中では、「京都おぶぶ茶苑」のこうした取り組みが紹介されている。
茶畑ツアーは、団体旅行を対象にした2時間程度の茶摘みとお茶の飲み比べをするものと、個人旅行者(FIT)を対象に4時間かけて茶摘みや飲み比べをするツアーを開いている。昨年からは、“お茶の大学”と題し、2週間に30コマほどの授業で日本茶についてじっくり学ぶ仕組みも作っており、今年は12人ほどが参加予定だ。
農家にとっては日常の、当たり前の風景こそが、実は外国人にとって大きな価値になる。茶摘みとお茶の飲み比べ、さらに2週間もの長期滞在をしての“お茶の大学”にもたくさんの人が参加している。
これと同じようなことは、実はどの地域でも可能ではないか。当たり前が当たり前でなく、それが新しい価値であることに気づけるかどうか。インバウンドを「爆買い」などの経済効果でしかはかってこなかった地域は、外国人が訪れるという本当の意味を見失っている。まれびとの来訪による、新しい価値の発見にこそ、その意味があるのだ。