定額サービスが当たり前になってきている。イノベーションが受け入れられる最後のとりでは、人々の常識の壁である。定額サービスが、そのキャズムを越えようとしている。
この前も着ルダケのサービスを記事として取り上げた。
先日、日本遺産塾というセミナーをやったあとに、参加者で懇親会を行った。今や当たり前になっている飲み放題を選んだ。飲んでも飲まなくても飲み放題を選ぶのは、会費の徴収が楽だからだ。アラカルトで頼むと最後まで金額が確定しないし、飲んだ分だけ精算するとなると精算がやっかいだ。
定額のお得感もさることながら、こうした金額の変動を抑えることのメリットは、少なくない。携帯電話の金額だって変動させたくないから、定額が好まれる。
そうすると、将来はあらゆるものを定額で支払って、あとはそのつどの支払いを意識しないようなライフスタイルが当たり前になってくるのではないか。そしてそこでは、消費を加速させようとする刺激的なプロモーションもなりを潜め、むしろ必要なものを必要なだけ消費するような、慎ましやかな消費行動を促すようになるのかもしれない(食べ放題でも、食べ残したら追加料金を取られることもある)。
その意味で、かっぱ寿司の食べ放題のような、せっかくなら不快になるほど食べ過ぎてしまうような定額サービスは、正直疑問だ。
そうした定額サービスよりも、そのさきの新しいライフスタイルに関心がある。人は、過剰な物欲から開放されるのかもしれない。